医療法人社団健信会でんぽう皮フ科クリニック
 Denpo dermatology clinic 

医師:いつからですか?今までにも同じ症状がありましたか?下記の季節による症状の特徴と対策をご覧下さい。 

<春 3月から5月>

  • スギ花粉症(スギ花粉飛散時期に眼のかゆみや鼻炎症状を起こします)はありませんか?アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などアレルギー症状をお持ちの患者さんは、この時期に症状が悪化する方が多いようです。アレルギー症状はないと思われていてもスギ花粉症の発症として顔面など露出部にかゆみを伴う発疹(スギ花粉皮膚炎)が出現することがあります。アレルギー検査を受けられてアレルゲン(アレルギー症状を起こす物質)の確認をお勧めします。また、スギ花粉を体内に取り込まない予防と同時に治療が必要です。
  • 3月、4月は冬に比べ暖かくなっていますが、まだ乾燥しています。保湿を怠ると、アトピー性皮膚炎や皮脂欠乏性皮膚炎の症状が悪化します。外出前や入浴後にはしっかり保湿して下さい。
  • 開花時期を迎えています。植物を扱う方にかぶれ(接触皮膚炎)があります。原因不明で繰り返しかぶれを起こしている患者さんは、パッチテストで接触源となる植物の同定をお勧めします。
  • 庭の手入れをした後に椿やサザンカなどに発生するチャドクガの幼虫による、強いかゆみを伴い首や腕などに赤いブツブツが出てくる、毛虫皮膚炎があります。
  • 5月より紫外線量が増えてきます。光線過敏症、しみ、光老化によるいぼなどを予防するために、9月頃まで日焼け止めを塗るなど遮光に努めましょう。また保湿も大事です。

<夏 6月から8月>

  • 高温多湿時期になり、あせもが出て来たり、発汗によりアトピー性皮膚炎の症状が悪化します。また、手掌部や足底部にかわむけや汗による湿疹が出てくることがあります。
  • 足にかゆみを伴うかわむけや水疱が出てきた患者さんは、水虫と自己判断せずに、皮膚科を受診し顕微鏡検査を受け診断されてから治療して下さい。水虫以外にも、湿疹、外用薬によるかぶれ(接触皮膚炎)、細菌による二次感染を併発していることなどがあります。
  • 夏期のプールでいぼ(尋常性疣贅)、みずいぼ(伝染性軟属腫)などウイルス性のいぼに感染することがあります。またウイルスによる発熱と発疹などを起こす病気に感染することもあります。
  • 虫刺され、毛虫皮膚炎、海洋生物による皮膚炎、日焼け(日光皮膚炎)、日焼け後にヘルペスなどもあります。
  • 有害な紫外線により手背部や前腕部などにかゆみを伴う赤い小さなブツブツが出てくることがあります(光線過敏性皮膚炎)。

<秋 9月から11月>

  • 日本の9月は、夏と同様の注意が必要です。
  • 夏が終わり10月頃より乾燥時期に入ります。アトピー性皮膚炎や高齢者に見られる皮脂欠乏性皮膚炎の患者さんは、症状が悪化して来ます。外出前や入浴後にはしっかり保湿して下さい。
  • 秋にも毛虫皮膚炎があります。

<冬 12月から2月>

  • 乾燥時期のピークです。アトピー性皮膚炎や皮脂欠乏性皮膚炎の患者さんは、症状が悪化して来ます。外出前や入浴後にはしっかり保湿して下さい。皮膚を直接温める暖房は症状を悪化させます。
  • 寒冷により抵抗力が低下し、帯状疱疹やヘルペスなどの病気にかかる患者さんがいます。ご注意下さい。
 

医師:部位はどこですか?初めに気付いたのはどこですか?下記の発症部位におけるかゆい発疹を起こす皮膚病の種類をご覧下さい。

発症部位におけるかゆい発疹を起こす皮膚病の種類。

  • 全身(どこにでも):アトピー性皮膚炎(増悪時)、蕁麻疹、中毒疹・薬疹、とびひ(伝染性膿痂疹)、ウイルス性疾患、虫刺され、疥癬など。
  • 頭:アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、毛染めの染料によるかぶれ(接触皮膚炎)など。
  • 顔面:アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、化粧品や日用品などによるかぶれ(接触皮膚炎)、御本人は気付きにくいのですが皮膚のバリア機能の低下に伴う刺激性皮膚炎など。
  • 首:アトピー性皮膚炎、装身具・衣服などによるかぶれ(接触皮膚炎)、衣服・汗などによる刺激性皮膚炎、慢性湿疹、毛虫皮膚炎など。
  • 体幹:アトピー性皮膚炎、湿布などによるかぶれ(接触皮膚炎)、体部白癬・皮膚カンジダ症など皮膚真菌症など。
  • 腕:肘と肘うらを中心にアトピー性皮膚炎、光線過敏性皮膚炎、毛虫皮膚炎など。
  • 手:洗剤などによる主婦湿疹、アトピー性皮膚炎、異汗性湿疹(汗による湿疹)、かぶれ(接触皮膚炎)など。
  • 下肢:膝と膝うらを中心にアトピー性皮膚炎、下腿部を中心に皮脂欠乏性皮膚炎、貨幣状湿疹など。
  • 足:水虫(足白癬)、異汗性湿疹(汗による湿疹)、外用薬によるかぶれ(接触皮膚炎)など。
  • 外陰部:湿疹、かぶれ(接触皮膚炎)、皮膚カンジダ症など。

 

 

  • しみと言っても、雀卵斑(そばかす)、後天性真皮メラノサイトーシス、肝斑、老人性色素斑、炎症後色素沈着などいろいろな種類があり、最善の治療も違います。
  • 皮膚科専門医の診断を受け、光治療やハイドロキノン外用など自由・自費診療を含めて治療法を選択して頂きます。

 

 

  • まず臨床診断(見て、ダーモスコピーで拡大して、触れて診断)をお伝えし、確定診断(病理組織学的診断)をするために局所麻酔下で皮膚小手術を行うことがあります。
  • 現在皮膚小手術は、当院では実施していません。皮膚小手術が必要な方は形成外科や病院皮膚科をご紹介しております。
  • また炎症や細菌による二次感染を起こしている場合は、その治療を優先し治ってから皮膚小手術を行います。

 

  • にきびの悪化要因となる生活習慣(寝不足、不規則な生活、過剰なストレスの蓄積、運動不足、過食、糖分と脂分の摂り過ぎ、過度の飲酒、誤ったスキンケア・メイクなど)を見直して頂きます。
  • 難治性の大人のにきびは、ストレスやホルモンバランスの乱れが原因となり、自由・自費診療を含めて治療法を検討して頂きます。
  • <美容形成目的の自由・自費診療>
  • 光治療:皮脂・膿が出やすくなり、にきび菌を殺菌します。中等症以上の患者さんに。
  • <重症度の基準>
  • 軽症は、片顔に炎症性皮疹(赤いブツブツや黄色い膿を持つにきび)が5個以下。
  • 中等症は、片顔に炎症性皮疹が6個以上20個以下。
  • 重症は、片顔に炎症性皮疹が21個以上50個以下。
  • 最重症は、片顔に炎症性皮疹が51個以上。
 
  • 赤ら顔は、顔面皮膚の真皮上層部の毛細血管が拡張及び過剰に新生した状態で、毛細血管拡張症とも呼ばれています。

<赤ら顔の病態形成に関する要因・誘因>
・人種差(白色人種>有色人種、日本人は軽症例多し)、性差(軽症例は女性>男性、重症例は男性>女性)
・末梢毛細血管拡張に関する形態学的異常
・精神的要因
・内分泌的因子(エストロゲンなど)
・胃腸障害(下痢、便秘など)
・食事因子(刺激物、アルコールなど)
・外的因子(日光、温熱刺激など)
・昨今のコロナ禍でマスク着用と医師から勧められたステロイド外用の影響で、赤ら顔のご相談が多い印象です。

 

<赤ら顔を呈する疾患>
(1)酒さ(第1度 紅斑性酒さ、第2度 酒さ性ざ瘡、第3度 鼻瘤)
(2)酒さ様皮膚炎(ステロイド外用薬の長期連用に伴う副作用)
(3)慢性化し炎症を伴うにきび
(4)脂漏性皮膚炎など他の皮膚炎
(5)慢性肝障害

 

<赤ら顔の保険診療の治療>
・上記(4)以外の疾患はステロイド外用薬をお勧めできません。
・外用:アズノール軟膏、アズノール軟膏と亜鉛華軟膏の混合剤、非ステロイド系消炎外用剤。紅斑性酒さと酒さ性ざ瘡にロゼックスゲル0.75%。酒さ性ざ瘡と(3)に外用抗菌剤。
・内服:テトラサイクリン系抗菌内服薬
・スキンケアと生活指導:こすらないスキンケア、低刺激性スキンケア商品・化粧品の使用、UVケア、寒暖差に注意、辛い・熱い食べ物を避ける、ストレス解消。

  • 痛いまめには、ウイルス性のいぼ(尋常性疣贅)とうおのめ(鶏眼)があります。
  • まず皮膚科専門医の診断を受け、ウイルス性のいぼは取れるまで根気よく液体窒素療法を受けて下さい。うおのめはスピール膏を貼り削ります。
  • うおのめの予防は、正しい歩き方とご自分の足に合った中敷きの厚い靴を履くことです。
  • 皮膚科を受診し、顕微鏡検査を受けて下さい。
  • 白癬菌が証明され爪水虫(爪白癬)と診断されましたら、まず外用爪白癬治療剤(クレナフィンかルコナック)で治療を開始します。1年以上治療し、白癬菌が陰性にならない、新たな爪が伸びないなど治癒に至らない患者さんは、外用薬の変更又は内服抗真菌薬へ移行するか治療法を選択して頂きます。

内服抗真菌薬の治療
(1)テルビナフィン塩酸塩連日投与
(2)イトラコナゾールパルス療法(1週間投与後3週間休薬を3サイクルその後観察期間)
(3)ネイリンカプセル12週間投与その後爪が生え変わるまで観察期間

  • 内服抗真菌薬処方前には、肝機能検査など血液検査が必要です。併用禁忌・注意の薬剤がありますので、現在服用されている薬剤をお伝え下さい。
  • クレナフィンとルコナックは、爪白癬の原因である白癬菌に作用する薬です。薬により白癬菌が消滅しても、変色した爪を改善するものではなく、新しい健康な爪が生え変わるまで根気よく治療を続けて下さい。当院では爪甲の根元にある爪母に外用薬を使ったマッサージをお勧めしています。(爪が生え変わるには、手で半年、足は1年から1年半かかります)
  • なお 爪白癬治療専用ではない外用抗真菌剤の液剤が、有効な症例もあります。
  • 診療科目 爪白癬・ネイリンについて見る
  • まず歴史からです。古代エジプトではすでに日光療法が行われ、古代ギリシャでは医学の祖とされるヒポクラテスが日光療法の効果を記しています。日本では、明治41年東大医学部皮膚科土肥博士らが光線治療器を医学界に紹介し、様々な病気の治療に使用されました。その後紫外線療法は、1970年代のオクソラレンと長波紫外線UVAを使用する PUVA療法全盛期から効果と安全性が追求されて、2000年代になると311±2nmの波長を使用するナローバンドUVB療法に変わり、対象疾患によっては340から400nmのUVA1が使用されるようになってきました。そして、2003年頃から、更に限られた部位に対して、ターゲット型光線療法であるエキシマライトによる治療が登場しました。
  • 現在当院で行っている光線療法は、ナローバンドUVB療法(2005年8月より開始)とターゲット型エキシマライト照射療法(2016年3月より開始)です。
  • 赤外線は温熱作用、長波紫外線は細胞の活性化作用、中波紫外線はアレルギーや免疫の暴走を抑える作用、短波紫外線は殺菌作用があります。
  • ナローバンドUVB療法とターゲット型エキシマライト照射療法の保険適応疾患は、尋常性乾癬(爪乾癬)、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫(症)、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症です。 
  • 多汗症とは、体温調節に必要な発汗の範囲を超えて過剰に発汗が認められ、日常生活に支障を来す場合に診断します。多汗症が問題となるのは、原因不明の局所的な発汗が半年以上続いている場合です。
  • <分類:全身性と局所(身体の一部)、原発性(特発性)と続発性
  • 全身性は、高温環境、重労働、肥満、有熱性疾患、体温調節中枢刺激、薬剤などが原因です。
  • 局所多汗症:手掌足底(掌蹠)、腋窩、前額、鼻尖、乳房間部などに多い。特に、掌蹠多汗症は情緒不安定、精神的緊張状態を基盤にして発症することが多いようです。
  • 続発性は、感染症、内分泌代謝異常(甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫など)、神経疾患、薬剤性、薬物乱用などで見られます。

<局所多汗症の診断基準:半年以上続き6項目のうち2項目以上あてはまる場合
(1)最初に症状がでるのが25歳以下である
(2)対称性に発汗がみられる
(3)睡眠中は発汗が止まっている
(4)1週間に1回以上多汗のエピソードがある
(5)家族歴がみられる
(6)それらによって日常生活に支障をきたす

 

<局所多汗症の重症度判定:(3)と(4)が重症>
(1)発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
(2)発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
(3)発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
(4)発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある

 

  • <治療法>
  • 原発性腋窩多汗症に、エクロックゲル5%ツイストボトルとラピフォートワイプ2.5%が処方出来ます。
  • 原発性手掌多汗症に、アポハイドローション20%が処方出来ます。
  • ボツリヌス毒素局注療法:当院では未実施
  • 胸腔鏡下胸部交感神経遮断術:当院では未実施
  • 原発性局所多汗症診療ガイドライン2015年改訂版では頭部・顔面の多汗症に内服療法を試してもいいとされています。
  • (1)精神的緊張により発汗が強くなる方に、グランダキシン錠。
  • (2)頭部・顔面多汗症を含めた全身性多汗症の患者さんに、プロ・バンサイン錠15mg内服という選択肢があります。プロ・バンサイン錠については診療科目 掌蹠多汗症
  • まず帯状疱疹について診療科目 帯状疱疹を参照下さい。
  • 以前当院でも帯状疱疹予防に弱毒生水痘ワクチンを紹介していましたが、希望者はとても少なかったです。2021年CM放映され話題に取り上げられ、再度紹介です。現在帯状疱疹ワクチンは弱毒生水痘ワクチンとシングリックスの2種類あり、以下で共通点と其々の特徴を記します。

<共通の接種目的>
・帯状疱疹の予防と発症した場合の症状を軽減します
・非常に苦痛である帯状疱疹後神経痛を軽減します

 

<共通の接種対象>
・50歳以上の方
・仕事が忙しく疲れがたまりやすい方
・ご本人が重症の帯状疱疹に罹患し、今後の帯状疱疹を予防したいと考えている方(過去に罹患した方も接種できます)
・配偶者・近親者や友人が重症の帯状疱疹に罹患し、帯状疱疹を予防したいと考えている方

 ・予防接種を受けることが適当でない方(接種不適当者)もいます。ご注意下さい。

<弱毒生水痘ワクチンの特徴>
・小児に使用する弱毒化し生の水痘ワクチン(水痘・帯状疱疹ウイルスに感染し自然に免疫がつくことが期待できます)で、2016年3月に「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」の効能・効果が追加承認されました。
・2015年11月米国より、ワクチンは帯状疱疹のリスクを51.3%~72.4%低下、帯状疱疹後神経痛の発症率を66.5%低下、しかし接種後3~11年で予防効果が減弱すると報告されました。
・重篤な副反応として、アナフィラキシー様症状・急性血小板減少性紫斑病等があり、主な副反応は過敏症、一過性に発熱・発疹、局所症状があります。
・費用は自費負担で、負担はシングリックスより少ない。

 

<シングリックスの特徴>
・2020年1月帯状疱疹ワクチンとして発売、水痘帯状疱疹ウイルスの表面に存在する糖タンパク質EgE)を抗原とし、アジュバントシステムAS01Bを添加した組換えサブユニットワクチン(病原体の成分であるタンパク質を投与するもの)です。
・50歳以上の帯状疱疹予防効果は97.2%、70歳以上は89.8%。予防効果は9年間観察されました。
・免疫抑制状態の患者さんは、慎重投与となりました。
・筋肉内に2回注射します。2回目は2〜6ヶ月後となります。
・重篤な副反応として、ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあります。主な副反応(10%以上)は、疼痛、発赤、腫脹、胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛)、頭痛、筋肉痛、疲労、悪寒、発熱でした。
・費用は自費負担で、負担は弱毒生水痘ワクチンより多い。お住まいの地域により費用の助成制度があります。また適正価格がありますのでご注意下さい。

  • 新型コロナワクチンを接種した方は、2週間後に接種可能です。
  • 接種希望者は其々の特徴を理解しご検討下さい。
  • gskのHPで帯状疱疹予防の相談ができる病医院検索出来ます。
  • 生物学的製剤は、化学合成された医薬品と異なり、生物を利用して作った薬剤です。病気の原因に関わる特定の物質(サイトカイン)の働きを直接抑える「注射剤」です。乾癬の適応薬剤は複数あり、アトピー性皮膚炎は1剤(デュピクセント皮下注)です。
  • 一方JAK阻害剤は、JAKファミリーのキナーゼの全てを阻害し免疫細胞の活性化を抑制します(複数のサイトカインを抑え効く)。皮膚疾患には、アトピー性皮膚炎に適応のあるコレクチム軟膏と経口剤のオルミエント錠・リンヴォック錠、関節症性乾癬にリンヴォック錠があります。
  • 2010年から発売された生物学的製剤はある程度安全性は担保されています。2020・21年発売のアトピー性皮膚炎適応のオルミエント錠とリンヴォック錠は、治療開始前に感染症などを含めた血液検査・胸部X線検査などが必要となり、病院で導入するかクリニック(診療所)では内科医(特に呼吸器)との密な連携が必要です。また投与中も定期的なモニタリング(状態の監視)が必要です。
  • 経口JAK阻害剤の副作用は、高頻度は帯状疱疹・上気道感染などで、重症なものは肺炎・結核・敗血症、頻度は稀ですが間質性肺炎・消化管穿孔・横紋筋融解症・静脈血栓塞栓症の報告があります。血液検査では、肝機能障害・好中球とリンパ球減少・LDLコレステロールとCK上昇があります。
  • 通常治療で寛解(症状が軽減した状態)維持できない難治性アトピー性皮膚炎患者さんに、生物学的製剤か経口JAK阻害剤を試して頂きたいです。特にデュピクセントは安全性・有効性の評価が高く、15歳以上の重症アトピー性皮膚炎に第一選択と言われています。

<経口JAK阻害剤オルミエント錠・リンヴォック錠をお勧めしたい患者さんは>
(1)デュピクセントが効かない
(2)デュピクセントが副作用で使えない
(2)注射をしたくない
(3)12〜14歳の重症アトピー性皮膚炎にリンヴォック錠
(4)眠れないほど痒みが強く、とにかく早く痒みを抑えたい
(5)全身皮膚の90%以上を掻きこわしを有する赤みで覆われた紅皮症
(6)ひどい症状が治ったらすぐ通常治療に戻りたい

 

 <オルミエント錠とリンヴォック錠の相違点>
(1)投与開始年齢:オルミエント錠は15歳から、リンヴォック錠は12歳から
(2)排泄経路:オルミエント錠は腎臓排泄、リンヴォック錠は肝臓排泄
(3)用法・用量:オルミエント錠は通常4mgで効果あれば2mgに減量、リンヴォック錠は通常15mgで効果なければ30mgに増量

・オルミエント錠の排泄経路は腎臓なので腎機能障害患者さん、リンヴォック錠は肝臓排泄なので肝機能障害患者に注意が必要です。オルミエント錠は減量、リンヴォック錠は増量できる薬剤なので、今後予想されるアトピー性皮膚炎の経過を考慮して薬剤選択が必要です。
・生物学的製剤・JAK阻害剤ともに高額な薬剤負担になります。医療費助成制度がありますので税務署・保険者などにご相談下さい。
・当院では通常治療で寛解維持できない難治性アトピー性皮膚炎患者さんに生物学的製剤・JAK阻害剤の適応を判断し、投与希望者には病院皮膚科を紹介します。